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Back log No.7-再生時間 59:59

007「また殺しか。」
裁判官「はい。今月で7人目ですよ。」
007「嘆かわしい事だ。邪悪な感情は拡散し、国の争いへと発展するケースもあり得る。…剰え我が国からこのような事が起こっては元も子もない。」
裁判官「はい。今はこの様な形で処理していますが、これ以上となると公にも…」
007「分かっている。何としても引き止めねばならない。行くぞ。」
裁判官「はい。」

司会「それではこれより、XXXXの裁判を開始します。弁護側、検事側、宜しいですか。」
弁護人「はい。」
検事側「同じく。」
被告「………」
司会「被告、登壇を。」

被告「……」
司会「今回の裁判は密司法に基づき、国公の事案とせず極秘の裁判とします。それでは検事側、被告の罪状を。」
検事「はい。被告◾︎◾︎◾︎は先日15日の午前2時に被害者である◾︎◾︎◾︎氏を鈍器による殴打にて殺害、現場の状況と遺留品から検出された指紋の遺伝子情報判定、ならびに拘束時のバイタルステータス、及び視覚情報バックアップより拘束された被告人が犯行を行ったと判明、拘束されました。自白の意思もあり、殺人による逮捕となります。」

司会「分かりました。では次に弁護側。」
弁護人「はい。検察の通り、被告人の状況を鑑みるに情報の齟齬はありません。しかし、被告側の主張及び言動から、殺意があった犯行の可能性は認められず、正当防衛としての行動の可能性を提示させて頂きます。」
司会「分かりました。被告人、当初の状況及び動機に関して、この場で意見はありますか」

被告「……俺は……」
被告「……俺は違う、これは、【興味本位】だったんだ」

弁護人「ひ、被告人、何を…!?」
検事「な…被告人、落ち着きなさい。」
被告「違う…違う!!!殺したかった訳じゃない!!彼は、そう…友人だったんだ。彼ほど俺の事を理解してくれる友人は、これまでいなかった。俺は…彼を愛してすらいた、そうだ…愛していたんだ、彼も俺の中身を知ろうとしてくれた。俺には分からなかったんだ、どうすれば彼の中身を知ることができるのか、心の理解を超えた先に何があるのかを」
司会「被告人、静粛に!!…改めて尋問としての時間を設けたほうが良いですね。精神的に酷く疲弊したよう見受けられます。」
検事「待ってください。被告人の動機は今明かされたのではないですか?この言動が被害者との関係の縺れによるものだという事であれば、過去の司法履歴300年分から数件の適応があります。それならば…」
弁護人「この発言が動機とは認められません。精神的に不安定であるならば、確証たる発言では…」

007「もういい。」
司会「さ、裁判長…!?」
007「皆、覚えている通りここ数ヶ月、我が国では連続的に殺人による裁判が行われている。それらは自他の価値観のすれ違い、または憎悪による根拠のある命の奪い合い、または自己防衛の主張、強欲による略奪や強姦の弾みだった。」
裁判官「裁判長、何を」
007「この男は【あってはならぬ人の業に足を踏み入れた】。愛憎による殺人は矛盾そのものだ。興味の限界を超えた人の意識には、デストルドーと決着する境界線があるらしい。」
司会「裁判長、席にお戻り下さい、何を」
検事「裁判長、被告人に近づかないで下さい!今被告は精神的に危険な」

007「おい。お前は殺しを行った時、どんな気分だった?どんな感情だったのだ?それを少し私に教えてくれないか。」
被告人「お、お、俺は…俺は……彼の…彼は…彼の心を知りたかった…でも…心が……」
007「早く言え。その先を言え。」
被告人「終わった時…彼は彼ではなかった…【モノ】だったと分かったんだ…彼は動かなくなって、彼は…どこにも居なくなってしまった…私は…どうすれば」
司会「裁判長!!危険です、離れて下さい!」
弁護人「裁判長!」

007「………これでハッキリしたな。『お前は失敗だ』。」

007「皆。法廷は解散する。各自本日の司法記録は破棄でいい。この男は私が「処理」する。」
司会「王!!?何を」
007「問題ない、このデータは不要だ。」

007「お前。最後に何が言い残したい事はあるか?」
被告人「ひっ…俺は…俺は、彼の事を…知れた…のか…?」
007「いいや。お前は何も知らない。殺された彼の事も知る必要はない。そしてここにいる全員、お前のことを知らない。お前も、お前自身の事を知らないのだ。知る必要がないのだ。」

007「これにて本日の模擬ケースは終了とする。」

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弁護人「王、どうして本日は模擬裁判の形態を変えたのです?資料の情報が少なく…あれでは検察のシミュレーションもままならないですよ。」
007「…ああ、すまないな。ここ最近、6件も連続して密司法の案件だろう。これ以上コーネリアスの元に罪人を出すわけにはいかんからな。ケースの想定はしておけ。」
検事「そうですね…しかし、今回は資料があまりに少ないですよ…王、お忙しい様でしたら、次回の模擬ケースの会議題材は私が作成しましょうか?」
007「む……そうだな、では任せるとしよう。すまないな。」
検事「いえ、光栄です。」
007「ありがとう。すまない、私はこれから2日間、国交関連の資料処理に入る。また任せてしまっていいか。」
裁判官「はい、我等で。」
007「いつもすまないな。頼んだぞ。」
裁判官「はい。いつも通り、王室へは秘書官も立ち入りを禁じます。」
007「任せた。」

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管理員1「……ねえー聞いた?こないだの15日…そう、港の通りを出て直ぐのあの酒場…そう、あそこで深夜に…そう、またよ。でも今度はお酒で事故みたい。うちの国からそういうの…王もお困りよね…」
管理員2「えーっまたぁ…?ここ最近どうしたのかしら。酒場で…私達も飲み過ぎには気をつけないと怖いよね…」

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007「ふう。ついにここまで、か。我等に不必要な遺伝子の発生が我が国で良かったとも…言える…な。…2日先の電報は多かろう…また……ヴァレリウスに叱られて…しま……う……な」

-SYSTEM DOWN-
-N.ENTRY 1D23H59m59s

-グラヴェオ司典記念館地下 大法廷
【::#VIIの頸髄回路 聴覚による裁判記録】